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海外不動産投資家が注目!ゴールデンビザを廃止した国6選

ゴールデンビザ

EU加盟国で相次ぐゴールデン・ビザ廃止

近年、60カ国以上で運用されているゴールデン・ビザやゴールデン・パスポート制度が、犯罪組織や汚職官僚に悪用されているとの懸念が高まっています。この制度は、富裕層が投資を行うことで居住権や市民権を取得できる仕組みですが、透明性の低さや審査の緩さから、犯罪者が資金洗浄や逃亡の手段として利用するケースが問題視されています。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は昨年、加盟国に対してゴールデン・ビザの販売停止を要請しました。EUは、この制度が犯罪組織や汚職官僚に悪用されるリスクを懸念しており、加盟国に対してより厳格な審査基準の導入や資金洗浄対策の強化などを求めています。

EUの要請を受け、アイルランド、キプロス、オランダはすでにVIPビザ制度を廃止し、ポルトガルは10月に制度を改革しました。これらの国々は、審査基準の強化や投資額の引き上げなど、悪用を防ぐための対策を講じています。

また、ロシアのウクライナ侵攻を受け、EUのすべての国はロシアとベラルーシの国民に対するビザ規則を強化し、ロシアの富裕層がEUに逃亡するのを防ぐための一環としています

専門家は、このような制度は本来、汚職官僚や犯罪者を惹きつけるものであり、追加パスポートや滞在許可証は当局から逃げているときに便利だと指摘しています。また、多くの国は厳格なデューデリジェンス対策を講じるどころか、「あまりにも寛容」であり、「怪しげな人物とその汚染された資金を無謀にも歓迎している」と批判しています。

ゴールデン・ビザ制度の廃止を求める主な理由は以下の3点にまとめられます。

1. 不正資金の流入抑制

ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州諸国はロシアからの不正資金流入を防ぐ対策を強化しています。ゴールデン・ビザ制度は審査基準が緩く、不正資金の洗浄や隠匿に悪用されるリスクが高いと指摘されています。

2. 住宅価格の高騰への対策

ゴールデン・ビザは富裕層の不動産購入を容易にするため、住宅価格の高騰を招いているとの批判があります。特にポルトガルでは、制度導入後に住宅価格が急上昇し、国内の住宅不足が深刻化しました。

3. 制度の透明性確保

ゴールデン・ビザの審査基準や投資先が不透明であり、不正行為や腐敗のリスクが高いと指摘されています。透明性の低い制度は健全性を欠くため、廃止を求める声が高まっているのです。

このように、マネーロンダリング対策、住宅政策、制度の健全性確保の観点から、ゴールデン・ビザ制度の廃止を求める動きが欧州で高まっています。一方で、経済的メリットもあり、制度の是非については議論が続いています。

ゴールデンビザ廃止の流れ

ゴールデンビザ廃止の動きがヨーロッパ全体に広がっています。英国は2022年2月に独自の制度を廃止し、アイルランドも2023年2月に移民投資家プログラムを終了しました。ポルトガルも2023年2月にゴールデン・ビザ・プログラムを終了し、オランダは2024年1月にこの制度を終了しました。この背景には、不正資金の流入や住宅価格の高騰などの懸念があります。主な廃止国と理由を見ていきましょう。

イギリス

2022年2月、英国政府は通称 “ゴールデンビザ “として知られるTier 1投資家ビザプログラムの廃止を決定しました。このプログラムは、2008年に導入され、富裕層が多額の資金を英国経済に投資することで英国での居住権を取得できるというものでした。

廃止の主な理由は以下の3点です:

  1. マネーロンダリングやその他の違法行為に関連する可能性のある個人によるプログラムの悪用の懸念。
  2. 特にロンドンにおける住宅価格の上昇を助長し、地元住民の住宅購入を困難にしていると考えられていたこと。
  3. 単なる不動産投資ではなく、経済のより生産的な分野への投資を奨励する政府の方針。

ゴールデン・ビザの廃止は、潜在的な投資家と英国経済に大きな影響を与えました。特に中国やロシアからの外国投資のフローが減少し、ロンドンの不動産市場では価格の伸びが鈍化しました。

英国政府は、イノベーター・ビザやスケールアップ・ビザなど、特定の投資カテゴリーに焦点を当てた代替ビザ・プログラムを導入しています。これらのプログラムは、生産的で革新的な投資を重視する政府の方針に沿ったものです。

現在、英国のTier 1投資家ビザ・プログラムは閉鎖されたままであり、投資を通じて英国での居住を希望する個人は、これらの代替オプションを検討することができます。

ただし、移民政策は頻繁に変更される可能性があるため、最新かつ正確な情報については、英国政府の公式ウェブサイトや移民問題の専門家に相談することをお勧めします。

アイルランド

2023年2月15日、アイルランド政府は、正式名称「移民投資家プログラム(IIP)」として知られる「ゴールデンビザ」プログラムの廃止を発表しました。このプログラムは、2012年にアイルランド経済を活性化するために導入され、富裕層投資家が100万ユーロ以上の投資を行うことで、アイルランドの居住権を取得できる仕組みでした。

アイルランド政府がゴールデンビザプログラムを廃止した主な理由は以下の通りです:

  1. ビザスキーム以外にアイルランドとの重要なつながりのない富裕層が居住権を得ることへの懸念や、内部監査で指摘された管理強化の必要性など、プログラムの適合性と適切性に関する疑問。
  2. 中国からの申請件数増加により、適切なデューデリジェンスの実施が極めて困難になったこと。
  3. 受動的な市民社会基金への移行が顕著で、投資戦略や雇用創出に乏しい疑わしい投資が目立ったこと。
  4. このプログラムが他の資金源に置換効果をもたらす可能性への懸念。
  5. 国際的な否定的認識や、承認プロジェクトが公式の承認を受けたと見られるなど、公共政策へのリスク。
  6. 2012年の経済困難時に投資刺激策として導入されたこのプログラムは、その目的を果たし、もはや継続する必要がないと政府が判断したこと。
  7. 英国や他のEU諸国が同様の制度を乱用や汚職の懸念から廃止したことに倣ったこと。

ゴールデンビザプログラムの廃止は、アイルランド経済、特に不動産市場に影響を与える可能性があります。このプログラムは、アイルランドに多額の投資をもたらし、建設業や関連サービス業の雇用創出に貢献してきました。

アイルランド政府は代替的な投資プログラムを検討中ですが、具体的な計画はまだ発表されていません。

アイルランドへの投資を検討している方は、現在の投資環境や利用可能な投資オプションについて、専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。

ポルトガル

2023年10月、ポルトガル政府は投資による居住プログラム「ゴールデンビザ」制度に大きな変更を加えました。この改正は、不動産投資を排除し、より生産的な経済セクターへの投資を促進することを目的としています。

主な変更点は以下の通りです:

  1.  2023年10月以降、居住用・商業用を問わず、不動産購入はゴールデンビザの対象外となりました。
  2. 150万ユーロ以上の資本移転投資も、ゴールデンビザの対象外となりました。
  3. ただし、これらの変更は既存のゴールデンビザ保持者には適用されず、更新や家族再統合、永住権申請などの権利は影響を受けません。

不動産投資が排除された一方で、以下の代替投資オプションを通じてゴールデンビザを取得することは引き続き可能です:

  • 不動産投資を除く、対象となるベンチャーキャピタルファンドへの50万ユーロ以上の資本移転
  • 10人以上の雇用創出
  • 研究活動への50万ユーロ以上の資本移転
  • 芸術制作の支援または国の文化遺産の維持のための25万ユーロ以上の資本移転
  • 商業会社を設立し、5人の常用雇用を創出するための50万ユーロ以上の資本移転

これらの変更は、不動産価格の高騰や賃貸住宅不足への懸念から不動産投機を抑制し、投資をより生産的な経済部門へと誘導することで、ポルトガルの経済成長を促進することを目的としています。

ポルトガル政府は、ゴールデンビザプログラムを長期的に維持し、魅力的な投資プログラムとして継続していく方針ですが、今後も要件が変更される可能性があるため、最新情報に注意することが重要です。

スペイン

2023年12月、スペイン政府は、2013年に導入された投資家による居住権取得プログラム「ゴールデンビザ」制度の廃止を発表しました。このプログラムでは、外国人がスペインの不動産に50万ユーロ以上を投資することで、居住権を取得できました。

BBCの報道によると、これらのビザの大部分は、ほぼ半分が中国人に発給され、その数は2,712件にのぼっていました。調査会社のデータによれば、中国に続いて、ロシア人が1,159件、次いでイラン人(203件)、アメリカ人(179件)、イギリス人(177件)となっています。

スペイン政府がゴールデンビザ制度を廃止した主な理由は以下の通りです:

  1. 特にマドリードやバルセロナなどの大都市で、地域住民にとって住宅をより利用しやすく手頃な価格にするため。批評家は、ゴールデンビザ制度が不動産価格の上昇と地元住民の移住を助長したと主張しています。
  2. 承認されたゴールデンビザの94%が、住宅市場に負担をかけている主要都市の不動産投資に関連していたため、政府は住宅への投機的な投資を阻止し、より生産性の高い分野に投資を振り向けたいと考えています。
  3. ゴールデンビザ申請者の資金源の透明性の欠如が懸念されており、特にロシアのウクライナ侵攻後、欧州委員会は安全保障上の懸念からこのようなプログラムの取り締まりを促しています。
  4. スペインの決定は、投資による居住制度の見直しや廃止というEUの広範な傾向を反映しており、近隣のポルトガルも住宅不足に対処するためゴールデンビザ・プログラムから不動産を外しています。
  5. ゴールデンビザ・プログラムがスペインに大きな経済的利益をもたらさなかったという意見もあり、不動産専門家は2013年以降に販売された住宅の0.1%未満しかゴールデンビザに関連していないと指摘しています。

ただし、ゴールデンビザプログラムを突然終了することで、スペインが新規住宅建設に必要とする外国投資の損失、信頼できる投資先としての評判の低下、既存のゴールデンビザ投資家への財政的・法的影響などの潜在的な影響が懸念されます。

ゴールデンビザ制度廃止の影響はまだ明らかではありませんが、スペイン政府は経済への影響を軽減するための措置を講じると表明しています。

オランダ

2023年9月、オランダ政府は、2013年に導入された投資家ビザプログラム「オランダ・ゴールデンビザ」制度を2024年1月1日付で廃止することを発表しました。このプログラムでは、外国人がオランダに125万ユーロ以上を投資することで、居住権を取得できました。

オランダ政府がゴールデンビザ制度を廃止した主な理由は以下の通りです:

  1. プログラム開始以来過去10年間で、この制度を通じてオランダの居住資格を得た投資家はわずか10人で、オランダのビジネス環境と新興企業の資金調達にわずかな貢献しかしていないこと。
  2. 濫用に対するセーフガードを維持しつつ制度の利用を増加させるための修正が容易には実現不可能であると判断したこと。
  3. この種の取り決めについて、オランダ国内だけでなくEU全体で批判的な議論が行われており、欧州委員会は安全保障上のリスク、マネーロンダリング、脱税、汚職の懸念から、投資家への市民権売却をやめるよう加盟国に求めていること。
  4. ビザを購入した裕福な投資家は実際にオランダやEUに移転しない傾向があり、オランダ経済への積極的な参加者となる可能性が低いため、この制度の経済的利益が限定的であること。
  5. 125万ユーロという高い投資基準額が、他のEU諸国のより緩やかな基準や低い投資額と比べて制度の普及を妨げた可能性があること。

ゴールデンビザ制度廃止の影響はまだ明らかではありませんが、オランダ政府は経済への影響を軽減するための措置を講じると表明しています。

ゴールデンビザ制度が廃止された後も、オランダは外国人投資家を歓迎するとしていますが、投資家はより厳しい審査基準とオランダ経済へのより積極的な関与を証明する必要があるでしょう。

ブルガリア

ブルガリアは2024年5月、投資による居住権取得プログラム(ゴールデン・ビザ)を廃止しました。このプログラムは2014年に導入され、富裕層が不動産購入や企業投資を行うことで居住権を取得できる仕組みでしたが、以下の理由から廃止に至りました。

廃止の主な理由

1. マネーロンダリングと不正資金流入の懸念

ゴールデン・ビザの審査基準が緩かったため、マネーロンダリングに悪用されるリスクが指摘されていました。特にロシアのウクライナ侵攻後、欧州ではロシアの不正資金流入を防ぐ対策が強化される中、ゴールデン・ビザはその経路になり得ると見なされました。

2. 国家安全保障と公序に対する懸念

ブルガリア当局には、投資家が国家安全保障や公序を脅かすと判断した場合に居住権を剥奪する裁量権がありましたが、この権限の行使が不透明であるとの批判がありました。

3. EUからの圧力

2022年、ブルガリアはEU加盟国として、投資による市民権(ゴールデン・パスポート)プログラムを廃止しました。EUはこうしたプログラムを安全保障上の脅威と見なしていました。ゴールデン・ビザも同様の批判を受けていました。

4. 住宅価格の高騰

裕福な外国人投資家による不動産購入が住宅価格を押し上げ、地元住民の住宅購入を困難にしているとの指摘がありました。

影響と今後

ゴールデン・ビザ廃止は、ブルガリアの経済や不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。プログラムは投資と雇用を生み出す重要な収入源でした。一方で、影響を受けた投資家は居住権を失ったり、投資資金の回収が困難になるリスクがあります。ブルガリア政府は、より厳格な審査と透明性を備えた新たな投資移民プログラムを検討していますが、ゴールデン・ビザに代わる新制度の導入には時間を要すると見られています。

オーストラリア

2023年11月21日、オーストラリア政府は、2012年に導入された投資家ビザプログラム「重要投資家ビザ(SIV)」制度、別名「ゴールデン・ビザ」や「ゴールデン・チケット」の廃止を発表しました。このプログラムでは、富裕層の投資家が400万豪ドル以上をオーストラリアに投資することで、居住権を取得できました。

オーストラリア政府がSIVプログラムを廃止した主な理由は以下の通りです:

  1. ほとんどのビザ保持者が引退のために人生の後半にオーストラリアにやってくる裕福な個人で、積極的に経済に貢献していないため、経済的成果が乏しくプログラムを継続するメリットが限られていること。
  2. 事実上「買って」入国できるビザのカテゴリーがあることをほとんどのオーストラリア国民が不快に思うだろうという公平性の問題と、裕福な外国人が他のビザの要件を満たさずに居住権を得られることへの懸念。
  3. 汚職に手を染めた外国公務員や組織犯罪グループが不正資金をオーストラリアに流入させるために制度を悪用する可能性があるという汚職やマネーロンダリングの懸念。
  4. オーストラリアが移民制度を見直し、技能労働者ビザを優先する方向へ移行していることと一致しており、技能移民の方が「買って」入国した移民よりも経済への貢献度が高いこと。
  5. 腐敗や悪用への懸念から、英国や欧州の他の国々も「ゴールデン・ビザ」制度を廃止するという世界的な流れに沿ったものであること。

SIVプログラム廃止の影響はまだ明らかではありませんが、政府は経済への影響を軽減するための措置を講じると表明しています。ただし、この決定はオーストラリアへの投資を検討している富裕層の投資家に大きな影響を与える可能性があります。

SIVプログラム廃止後も、オーストラリアは海外からの投資家を歓迎するとしていますが、投資家はより厳しい審査基準とオーストラリア経済へのより積極的な関与を証明する必要があるでしょう。

なぜ世界の富裕層はオーストラリアに移住するのか?

ゴールデン・ビザとゴールデン・パスポートの違い

ゴールデン・ビザとゴールデン・パスポートは、投資を通じて移住権や市民権を取得できるプログラムですが、それぞれ大きな違いがあります。ここでは、両者の特徴を比較しながら、メリット・デメリットを解説します。

ゴールデン・ビザ

ゴールデン・ビザは、不動産購入や事業投資などの対価として、一時的または永住の居住権が付与されるプログラムです。

主な特徴

  • 投資額は国によって異なりますが、一般的には50万ユーロ以上
  • 居住許可は当初一時的(例:2年)だが、投資を維持すれば更新可能
  • EUのゴールデン・ビザを取得すれば、シェンゲン圏内を自由に移動可能
  • 人気プログラム:ポルトガル、ギリシャ、スペイン、マルタなど

メリット

  • 比較的低額の投資で移住権が得られる
  • 家族の移住が可能
  • 将来的に市民権取得のチャンスがある(国による)

デメリット

  • 言語の壁や文化の違いへの適応が必要
  • 投資額が高額な国もある
  • 審査基準が厳しい場合がある

ゴールデン・パスポート

一方、ゴールデン・パスポートは、高額な投資や寄付を条件に、直接その国の市民権とパスポートが付与されるプログラムです。

主な特徴

  • 投資額は100万ドル以上が一般的
  • 一部の国では寄付によっても取得可能
  • その国のパスポートを取得すれば、多くの国へビザなし渡航可能
  • 人気プログラム:マルタ、キプロス、セントクリストファー・ネイビスなど

メリット

  • 市民権とパスポートの取得で、渡航の自由が大幅に広がる
  • 資産運用の選択肢が増える
  • 一部のプログラムでは将来的にEU市民権取得の可能性

デメリット

  • 投資額が極めて高額
  • 審査基準が非常に厳しい
  • 言語の壁や文化への適応が必要

どちらを選ぶべきか

投資家が目指す目標によって、ゴールデン・ビザとゴールデン・パスポートのどちらを選ぶべきかが変わってきます。

  • 移住を主な目的とする場合は、比較的低額のゴールデン・ビザが適切
  • ビジネスや旅行での渡航の自由が欲しい場合は、ゴールデン・パスポートが有利
  • 資産運用の選択肢を増やしたい投資家には、ゴールデン・パスポートがおすすめ

いずれの場合も、専門家に相談し、自身のニーズと経済力に合ったプログラムを選ぶことが重要です。

ゴールデン・ビザのYouTube動画



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