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ウフィツィ美術館-Galleria degli Uffizi

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 イタリアの「ウフィツィ美術館」をご存じでしょうか。 

パリのルーブル美術館やニューヨークのメトロポリタン美術館に比べると、日本での知名度はそれほど高くないかもしれません。 

でも、教科書にも載っているような、誰もが一度は目にしたことがある作品がずらりと並んでいるのが、ここウフィツィ美術館です。 

イタリアルネサンスの中心地「花の都フィレンツェ」に建つこの美術館は、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなど、ルネサンス期絵画の世界有数のコレクションを誇るイタリア・アートの象徴。 

「ウフィツィ」とはイタリア語で「オフィス」の意味。1580年に完成したフィレンツェの行政庁舎がそのまま美術館になったからといわれます。 

庁舎を建てたのは、当時フィレンツェを実質支配していた名家・メディチ家出身のトスカーナ大公・コジモ1世。メディチ家はルネサンス期の画家たちを支援し、作品の制作を依頼しました。 コジモ1世の子・フランチェスコ1世がメディチ家のコレクションを庁舎内に展示したのが美術館としてのはじまりで、1591年から一部公開されている、ヨーロッパ最古の近代美術館のひとつです。 

年間100万人が訪れるというウフィツィ美術館で、特に見逃せない作品をご紹介しましょう。 

ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』『プリマヴェーラ』 

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知らない人がいないくらい有名なボッティチェリの2作品『ヴィーナスの誕生』、『プリマヴェーラ』。ウフィツィ美術館を代表する名画です。共にメディチ家の依頼で、対で描かれたと言われており、ウフィツィ美術館ではボッティチェリの作品が集められている展示室で、鑑賞することが出来ます。 

『ヴィーナスの誕生』は、海から生まれた愛の女神ヴィーナスが貝に乗って、キュプロス島に到着した場面を描いたもの。ヴィーナスの左には、風を吹かせてヴィーナスを運んできた西風の神ゼピュロスと花の女神フローラ、右には時の神ホーラが衣を広げて待っています。 

『プリマヴェーラ』では、ヴィーナスを中心に右端に『ヴィーナスの誕生』でも登場した西風の神ゼピュロス、そして妖精クローリスがゼピュロスによって花の女神フローラに姿を変えられるところが描かれています。ゼピュロスに抱きかかえられるクローリスが変容した姿が、花柄のドレスを着たフローラです。

ヴィーナスの頭上にはキューピット、左端にマーキュリー、その横で三美神が踊っています。表情や体の動きは明らかにそれ以前の時代の絵画と違っており、ルネサンスの到来を強く思わせる作品です。 

 アンドレア・デル・ヴェロッキオ『キリストの洗礼』 

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ヴェロッキオは、初期ルネサンス期に活躍した画家であり、彫刻家、建築家でもありました。フィレンツェに大きな工房を構えていたヴェロッキオの元には多くの弟子が集まっていました。 

当時は、工房で弟子たちと共同で作品を仕上げるのが一般的で『キリストの洗礼』もフィレンツェの修道院の依頼でヴェロッキオが主体となって工房で制作されました。

この工房で修行していたレオナルド・ダ・ヴィンチが筆を入れていたことで、この絵はより注目されることとなりました。ダヴィンチは左側の天使、遠景を描いたと言われています。また、ボッティチェリも制作に加わっていたという説もあります。 

レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』

大天使ガブリエルが聖母マリアに受胎を告げている場面を描いたこの作品は、ヴェロッキオ工房で修行していたダヴィンチのデビュー作。初期の作品とはいえ、ダヴィンチの特徴である遠景の遠近法やスフマート技法が既に現れています。

受胎告知はさまざまな画家によって取り上げられてきたテーマですが、他の作品と違って屋外での一場面として描かれており、ダヴィンチの自然の風景に対する関心の深さが伺えます。 

ダヴィンチの絵画で真作は20点も確認されておらず、『受胎告知』はその中の貴重な一枚でもあります。ウフィツィ美術館では他に、ダヴィンチの真作『東方三博士の礼拝』も見ることができます。 

ミケランジェロ『聖家族』 

ヴァチカン・システィーナ礼拝堂の天井画を描く直前に描いた、ミケランジェロの貴重な作品。 フィレンツェの豪商、アニョロ・ドーニの結婚記念に依頼されたと言われています。 

円形の画面中央に聖母マリア、その左上に幼子キリスト、隣にはヨゼフが配されています。 

ミケランジェロは、『ダビデ像』など彫刻家として活躍していましたが、『聖家族』も絵画でありながら、筋肉質の人体の表現や、うねるような複雑な構図はとても彫刻的で、立体感にあふれています。一見不自然にも見える構図や色彩は、ルネサンスが次の時代へ移ろうとしている兆しでもあります。 

 ラファエロ『ヒワの聖母』 

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 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並んでルネサンス三大巨匠といわれるラファエロ。わずか37歳で早世するまでに数々の後世に残る傑作を残しますが、『ヒワの聖母』もそのひとつ。聖母マリアに手を添えられゴシキヒワを手にする洗礼者ヨハネと、ヒワの頭をなでるキリストが、ラファエロ特有の柔らかな優しい雰囲気で描かれていますが、ヒワはキリストの受難を暗示しています。 

ラファエロは短期間ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチに弟子入りしており、この作品の三角形のピラミッド構図は、ダ・ヴィンチの『アンナと聖母子』などの作品に影響を受けていると言われています。 

『ヒワの聖母』は1547年に所有者の家の倒壊事故で17片に分断されてしまいますが、復元され、近年、描かれた当初の鮮やかな色彩を蘇らせる修復作業を経た姿を現在見ることができます。 

テイツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』 

テイツィアーノはヴェネツィアを拠点とする「ヴェネツィア派」の盛期ルネサンスを代表する画家。ヴェネツィア派はフィレンツェ派と比べ、色彩に重点を置き、感覚的、官能的な美を追求しました。 

これより50年前に描かれた初期ルネッサンス、フィレンツェ派のボッティチェリのヴィーナスと見比べてみてください。『ウルビーノのヴィーナス』は、神話のヴィーナスとして描かれてはいますが、ベッドで眠る犬や背景の侍女は現実的で、実在する人物を思わせます。

この作品は後世の画家たちに大きな影響を与えました。なかでもこの作品の構図を下敷きに、ヴィーナスを売春婦に置き換えて描いたマネの『オランピア』は、センセーションを巻き起こしました。 

カラヴァッジョ『バッカス』 

ルネサンスに続くバロック期の画家カラヴァッジョ。光と影の魔術師と謳われた巨匠の作品です。自由奔放な酒の神・バッカスを、女性的にも見える若い男性の姿で描いています。 

バッカスの冠の葉はしおれ、置かれた果物は熟れすぎている。うっすら赤みの差した頬とうるんだ瞳、グラスを持つ手の汚れた爪が、なんとも退廃的な雰囲気を醸し出しています。浅いワイングラスに注がれたワインはさざ波がたつように波打ち、まるで鑑賞者を誘っているよう。 

芸術家としての高い評価とは裏腹に素行が悪く、殺人まで犯したというカラヴァッジョの刹那的な一面が見えるような作品です。 

名前 ウフィツィ美術館
Galleria degli Uffizi
開館日 火曜-日曜(閉館日:月曜)
時間 8:15~18:50
入場料 3月1日から10月31日 €20
11月1日から2月28日 €12
18歳以下、無料
展示作品 2500点
住所 Piazzale degli Uffizi, 6, 50122 Firenze FI, イタリア
詳細 公式ホームページ

地図

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