心を込めて贈る ― お供え花アレンジメントおすすめ10選

お悔やみの気持ちを優しく伝えるお供え花10選

大切な方を偲び、心からの弔意を伝えたいとき、お供えの花は言葉では伝えきれない想いをそっと届けてくれます。しかし、いざ花を選ぼうとすると、「どの花がふさわしいのだろう」「マナーに反しないだろうか」と悩むことも多いものです。

この記事では、そんな迷いや不安に寄り添いながら、故人への敬意とご遺族への慰めの気持ちを大切にした、上品で美しいお供え花アレンジメントの選び方をご提案します。

伝統的な白一色のアレンジメントから、四十九日以降に贈る淡い色合いの優しいスタイル。

故人の好きだった色を取り入れた温かみのあるものや、洋花を中心としたモダンなデザイン、和の趣を感じる落ち着いたアレンジメントもご用意しています。

また、飾る場所を選ばない小ぶりなタイプや、長持ちする花材を使ったもの、季節の花を取り入れたアレンジメントもおすすめです。

さらに、男性向けや一周忌以降に少し華やかさを加えたスタイルまで、さまざまなシーンにふさわしい10種類を厳選してご紹介します。

それぞれの特徴や選び方を知ることで、贈る相手や場面に合わせて最適なお花を選ぶことができ、あなたの大切な想いがより深く、そして美しく伝わることでしょう。お供え花を通じて、故人への敬意とご遺族への思いやりが、やさしく心に届きますように。

お供え花には様々なスタイルがありますが、ここでは特に心を込めて贈るのにふさわしい、上品で美しいアレンジメントを厳選しました。

清らかな白上がりアレンジメント

お供え花の中でも最も基本的であり、深い敬意と哀悼の意を丁寧に表現できるのが、この「白上がり」のアレンジメントです。

気品高く、純潔の象徴ともされる大輪のユリを主役に、やさしく重なり合う花びらが美しいトルコキキョウ、柔らかな印象のカーネーション、そして繊細で清らかなカスミソウを惜しみなく使用。すべてを清らかな白一色で統一し、静かで厳かな佇まいに仕上げています。

「白」は、仏教において神聖な色とされ、故人の魂の安らぎを願う気持ち、心からの追悼、そしてご遺族へのお悔やみの思いを、静かに、そして深く伝えてくれます。

このような白一色のアレンジメントは、故人が亡くなられてから間もない時期、特に四十九日までのご供養の期間や、初めてお悔やみのお花を贈る際に、最もふさわしいとされています。

また、どのような宗教・宗派であっても失礼にあたらず、安心してお贈りいただける、まさに「基本」のスタイルです。

凛としたユリの姿は、故人への尊敬の念を。
やわらかなトルコキキョウやカーネーションは、悲しみに寄り添う優しさを。
無垢なカスミソウは、静かに清らかな祈りを――それぞれが、見る人の心にそっと語りかけてくれるようです。

色を使わないシンプルさの中に、花本来の美しさや質感が引き立ち、高貴で厳粛な雰囲気を醸し出します。その純白の輝きは、悲しみの場に清浄な空気をもたらし、見る人の心を穏やかに、そして静かに落ち着かせてくれるでしょう。

仏壇や祭壇、ご自宅のインテリアにも自然に調和しながら、しっかりとした存在感を放つこのアレンジメント。心を込めた最初のお供えとして、また、どのようなお花を贈ればよいか迷われた時にも、多くの方に選ばれ続けている、時代を超えて愛される定番のスタイルです。

淡い色合いの優しいアレンジメント

清らかな白を基調に、淡いピンクのトルコキキョウやカーネーション、やさしい水色のデルフィニウムやブルースター、落ち着いた薄紫のスターチスやリモニウム、そして瑞々しい緑の葉物（アイビーやレザーファンなど）をさりげなく添えた、穏やかで上品なアレンジメントです。

白一色では少し寂しく感じるときや、故人の穏やかな人柄をやさしく表現したいときに、よく選ばれています。全体としてとてもやさしく、まるで柔らかな陽だまりのような温かさを感じられるデザインとなっており、ご覧になる方の心にも、そっと安らぎを届けてくれるでしょう。

このアレンジメントには、「深い悲しみの中にいるご遺族の心に、少しでも癒しを届けられますように」という祈りにも似た想いが込められています。
淡いピンクは“優しさ”や“感謝”を、水色は“安らぎ”や“清らかさ”を、紫は“敬意”や“哀悼”を、そしてグリーンは“生命の穏やかさ”や“癒やし”を象徴すると言われています。

一般的に、忌明けとされる四十九日を過ぎた頃からは、白一色にこだわらず、このように淡くやさしい色合いを取り入れたお供え花を選ぶ方が増えてきます。

故人を偲ぶ気持ちはそのままに、少しやわらかな印象で想いを伝えたいとき。また、特に女性の方へのお供えとしても大変人気があります。主張しすぎないやさしい彩りが、大切な方を亡くされたご家族の心にそっと寄り添い、温かく包み込みながら、悲しみをやわらげてくれることでしょう。

故人の好きだった色を取り入れたアレンジメント

お供え花の基本とされる「白」や「淡い色合い」を大切にしながら、故人様が生前お好きだった色のお花をアクセントとして添えるアレンジメントは、形式にとどまらない、心のこもった贈り物になります。個人の記憶や想いを大切にする、よりパーソナルで温かみのあるお供えの形です。

たとえば――
明るくひまわりのような笑顔が印象的だった方には、やさしい黄色のフリージアやオンシジウムを。
穏やかで知的な雰囲気の方には、落ち着いた紫のトルコキキョウやスターチスを。
爽やかで清々しい人柄の方には、ブルー系のデルフィニウムやリンドウを――。

このように、故人のお人柄や印象に合わせた色を選び、全体の調和を大切にしながらアレンジに取り入れていきます。

こうしたアレンジメントは、ご遺族の心に深く響くことがあります。
「この色、〇〇さんが好きだったな」「このお花、まるで〇〇さんみたい」――
お花を通して故人の面影や在りし日の思い出が蘇り、懐かしさに包まれた会話が生まれるかもしれません。

それは、贈る方の「故人を大切に想う気持ち」が、より深く、温かく伝わる瞬間です。故人を一人の人として偲び、その人らしさに敬意を込めて贈る、真心のこもった供花のかたちだと言えるでしょう。

ただし、大切なのは「お供え花としての品格」を損なわないことです。いくら故人がお好きだったとしても、真っ赤や鮮やかすぎる原色、黒といった場にそぐわない色は避けるのがマナーです。また、トゲのあるバラなどは原則避けるべきとされており、どうしても使いたい場合はトゲを取るなどの配慮が必要です。

基本の色調はあくまで白や淡い色合いに。アクセントとなる色も、上品で落ち着いたトーンを選ぶよう心がけましょう。大切なのは、派手さではなく「静かな想いが自然と伝わること」。その気持ちが、花とともに、やさしくご遺族の心に届いていくはずです。

凛とした洋花中心のアレンジメント

気品あるラインを描くカラー、清楚な白バラ、フリルのような花びらが美しいトルコキキョウ、そして上品な雰囲気を纏ったデンファレ（ランの一種）。
そんな洋花たちを中心に構成したアレンジメントは、洗練された現代的な美しさをまとい、凛とした印象を空間に与えてくれます。

そこに、モンステラやレザーファン、ユーカリといった個性的なグリーンを組み合わせることで、フォルム全体に引き締まった印象をプラス。
シンプルでありながら、モダンな雰囲気を一層引き立ててくれます。

このようなスタイルは、従来の菊を主体とした和風のお供え花とは趣を異にし、都会的でスタイリッシュな佇まいが特徴です。
縦のラインを意識したデザインは、空間に静けさと緊張感をもたらし、故人の清らかな旅立ちを静かに願う気持ちを、形として美しく表現します。

洋風の祭壇はもちろん、シンプルモダンなインテリアのリビングなどにも自然に馴染み、違和感なく美しく飾ることができます。
おしゃれな感性をお持ちだった故人を偲ぶ際や、若い世代のご家庭に贈るお供えとしても、大変喜ばれるスタイルです。

伝統的な形式にとらわれすぎず、故人らしさや現代的な感覚を大切にしたい。そんな想いをお持ちの方に、特におすすめしたいアレンジメントです。

上品さを保ちながら、どこか都会的で洗練された印象が、故人への敬意と共に、贈る方のセンスもそっと伝えてくれることでしょう。

和の趣を感じる落ち着いたアレンジメント

日本の伝統や美意識を大切にされる方におすすめなのが、菊（マム）を中心とした落ち着きのある和風アレンジメントです。
古くから仏事に用いられてきた菊は、清らかさや格調高さを象徴する花として、多くの方に親しまれてきました。

「菊」といってもその種類はさまざまで、重厚感のある輪菊のほかに、可愛らしい丸い形が特徴のピンポンマム、繊細な小花が咲くスプレーマムなど、現代的な感覚に合った品種も豊富です。こうした花々を取り入れることで、格式を保ちつつも、やわらかさや優しさを感じさせる洗練された印象に仕上がります。

さらに、季節の花材を添えることで、アレンジメントに深みと豊かさが加わります。たとえば秋には、リンドウの青紫色が厳かで凛とした雰囲気を演出。春や初夏には、新緑のドウダンツツジや爽やかなナルコユリなどの枝物が、自然の息吹と清らかな空気感を感じさせてくれます。

このような和の趣を大切にしたアレンジメントは、ご年配の方々からも特に好まれ、和室や床の間といった空間にもしっくりと馴染みます。
お盆やお彼岸といった節目の仏事にもふさわしく、故人やご先祖様に心からの感謝と祈りを届ける、やさしく丁寧なお供えのかたちです。

すっと伸びる枝物の自然な美しさや、菊の丸みのあるフォルム、そして季節の彩りが織りなす表情は、どこか懐かしく、見る人の心を静かに癒してくれることでしょう。

飾りやすい小ぶりなアレンジメント

ご自宅の仏壇の横や、故人様のお写真のそばなど、限られたスペースにさりげなく飾っていただける、小ぶりなサイズのお供えアレンジメント。
大きな花束を置く場所がない場合や、仰々しくなりすぎない形で、心を込めたお悔やみの気持ちを届けたいときに最適です。

優しい色合いのトルコキキョウやスプレーマム、上品なミニ胡蝶蘭やデンファレ、そして季節の小花などを組み合わせ、小さくても品格のある美しい佇まいに仕上げます。

派手さはなくとも、故人を静かに偲ぶ気持ちと、ご遺族を思いやるやさしい心が、そっと伝わるアレンジメントです。

このコンパクトなサイズは、持ち運びにも便利で、弔問の際の手土産としても多くの方に喜ばれています。

そのまま飾れる手軽さも、ご遺族にとって嬉しいポイント。ちょっとしたスペースに置けるからこそ、日常の中で自然に故人を思い出すひとときをつくってくれます。

また、場合によっては、ご入院中の方へのお見舞いに選ばれることもあります。ただし、生花の持ち込みには病院ごとのルールがあるため、事前に確認するのが安心です。香りの少ない花を選ぶなどの配慮も大切になります。

控えめなサイズに、贈る方のやさしさと心づかいをぎゅっと詰めこんだ、あたたかみのあるアレンジメント。小さいからこそ伝わる思いがあります。大切な人への静かな敬意と、そっと寄り添う気持ちを届ける一品です。

長持ちする花材を中心にしたアレンジメント

季節の花を取り入れたアレンジメント

四季折々の美しさを感じられる日本ならではのお供え花アレンジメントは、その時期に最も美しく咲く旬の花材を取り入れることで、故人が過ごした季節や思い出を自然と重ね合わせることができます。

春には、門出を思わせる優しい香りのスイートピーや、凛とした姿が印象的なアイリスが、希望や新たな始まりを感じさせてくれます。

夏には、涼しげなリシアンサス（トルコキキョウ）や、空の青さを映したようなデルフィニウムが、爽やかな彩りを添えてくれます。

秋になると、落ち着いた色合いのリンドウや、風情あるワレモコウ、そして実りの季節を象徴する実ものなどが、深まりゆく季節と共に故人を静かに偲ぶ気持ちを表現します。

冬には、格調高いシンビジウムや、甘い香りが心を和ませるストックなどが、寒さの中にも温かみを添えてくれます。

このような季節の花を取り入れたアレンジメントは、ご遺族の心にもそっと寄り添い、故人との季節ごとの思い出を語り合うきっかけにもなります。自然の美しさとともに、故人への想いを丁寧に伝える、心豊かな贈り物です。

男性向けの落ち着いた色合いのアレンジメント

男性へのお供え花を選ぶ際は、華やかさよりも落ち着きや品格を大切にした色合いが好まれる傾向があります。基本となるのは清らかな白色で、そこに深みのあるグリーンをたっぷりと加えることで、爽やかさとともに静かな落ち着きを演出できます。

モンステラやギボウシ、レザーファンなど形や質感に特徴のある葉物を取り入れると、アレンジメント全体に奥行きと動きが生まれ、より洗練された印象になります。

アクセントとして淡いブルーや紫のお花を加えるのもおすすめです。デルフィニウムやリンドウの青、スターチスやトルコキキョウの紫などは、派手すぎず、知性や誠実さを感じさせる色合いです。

これらの寒色系を中心にまとめることで、甘さを抑えたクールで引き締まった雰囲気になります。ピンクやオレンジなどの暖色系は避けると、より男性らしい凛とした印象に仕上がります。

花材選びでは、カラーやアンスリウム、シャープなラインを持つ葉物などを取り入れることで、男性的な力強さやすっきりとした印象を表現できます。

寂しさを感じさせず、故人の威厳や落ち着いた人柄を偲ぶことができるよう、色や形のバランスに配慮したアレンジメントは、ご遺族の心にもそっと寄り添い、上品で心のこもった贈り物となります。

少し華やかさをプラスしたアレンジメント

お供え花を選ぶ際の心遣い

どのアレンジメントを選ぶにしても、いくつか心に留めておきたいポイントがあります。

• 色合い: 基本は白を基調としますが、四十九日を過ぎれば淡い色を加えるのが一般的です。故人の好きだった色を入れる場合は、ご遺族への配慮も忘れずに。
• 花材: トゲのある花（バラなど）や、香りが強すぎる花は避けるのが無難です。ユリも花粉を取り除いて贈る配慮を。長持ちする花を選ぶと喜ばれます。
• タイミング: 訃報を知ってすぐの場合は白上がり、法要などは事前にご遺族に確認すると良いでしょう。お盆やお彼岸に贈る場合は、少し早めに届くように手配するのが一般的です。
• メッセージカード: お花に心を込めたメッセージカードを添えると、より一層お気持ちが伝わります。「心よりお悔やみ申し上げます」「安らかなるご冥福をお祈りいたします」といった定型文のほか、故人との思い出などを簡潔に記すのも良いでしょう。

まとめ